ユーザーレポート
―福島綜合警備保障株式会社 様―

福島綜合警備保障株式会社 様[警備業] ―デジタルタコグラフのリプレイスを実施。カードレスにより、カード管理から解放―

ALSOKグループの警備会社として福島県の一翼を担うのが福島綜合警備保障(小田部勝浩社長、福島県郡山市)。1969年にいわき市小名浜で創業し、現在は郡山市に本拠を構える。県内一円に営業網(8支社、8営業所、5事務所、1事業所)を張り巡らせ、オフィスビルや個人宅(ホームセキュリティ)を遠隔監視し、異常発生時に警備員が駆けつける機械警備をメインに、工場など大型施設等での常駐警備、現金・貴金属の警備輸送、福島空港の保安業務のサービスを提供。更にはセキュリティの枠を越えた快適生活を支える綜合管理、防災業務など、顧客の生命と財産を守るための「安全」「安心」を提供している。

車両は乗用車タイプのパトロール車とハイテクノロジーを装備した警備輸送用のトラックがある。保有車は300両にも上り、全車両にはドライブレコーダー(DR)を装着。更に警備輸送用の緑ナンバートラック全27両と約50両のパトロール車にはデジタルタコグラフ(デジタコ)も装着している。
このうち、デジタコは2013年11月、警備輸送用車の矢崎製車載器「DTG3」を、クラウド対応の「DTG5」に全車をリプレイスした。リアルタイムな車両位置情報の把握により、スタッフを含めた危機管理やセキュリティのクォリティアップに重用している。

デジタルタコグラフのリプレイスを実施
カードレスにより、カード管理から解放

車載器導入の背景

デジタコの導入は2008年7月、南相馬市の相双支社でのパトロール車の代替等に遡る。ハイブリッド(HV)車「トヨタ・プリウス」の導入に合わせて試験的にデジタルタコグラフ(YAZAKI「DTG3」)を装着した。
セキュリティサービス部の石川仁・セキュリティ課長兼指導教育課長は「省燃費のハイブリッド車導入に合わせ、デジタコによる燃費改善と安全管理のデジタル化に期待した」と当時を振り返る。それまでは、アナログ式の一般商用車用タコグラフを活用して、安全管理などを行っていた。
また、経費削減として燃費改善を進めていたが、全ドライバーの省燃費運転を把握し、分析することは困難だった。

そこで、個々の正確な運転データを収集することで、「個別指導に役立てられないか」と試験導入を決めた。3両のHV車にデジタコを装着し、検証を行った。その結果、安全管理や燃費改善の指導に「有効だ」との結論に達した。
2ヶ月後の郡山支社を皮切りに装着を開始し、現在では全社で約80両、このうち警備輸送車は全車両の27両に装着されている。
また、同時期の2010年10月からは、事故防止に効果的とされるドライブレコーダーの全車装着も進めた。デジタコと併用することにより、事故防止の相乗効果を図っている。
更にDRは安全管理とともにセキュリティの面でも効果的に活用。警備輸送車には、カメラを運転席と荷台(金庫内)の2か所に設置。DRの機能を最大限に生かし、万全なセキュリティ体制の重要なパーツの一つになっている。

事故防止・安全管理と経費削減の効果

デジタコとDRの併用は、安全管理の向上や燃費改善などの経費削減に大きく寄与している。詳細な運転内容のデータが数値化されることで管理レベルが飛躍的に向上。減点項目が特定できるため、的確な安全指導が出来るようになった。
当初は60点台の点数も少なくなかったが、現在では大半が90点を超し、100点満点の運転も珍しくない。導入時にはスピード超過と見られる運転も少なくなかったが、現在では法定速度の安全運転となり、交通事故防止に大きな効果を上げている。
経費削減でも燃費が大幅に改善された。パトロール車には待機乗務もあり、一概に比較するのは難しいが、未装着の車両よりも「2割程度は改善された」(前述の石川氏)と見ている。

DTG3→DTG5へのリプレイス

2013年11月、警備輸送車全27両に装着しているデジタコを一斉にリプレイスした。DTG3の導入から5年が経過したことと、より管理のレベルアップを図るために更新した。
DTG5は簡単な操作で大容量データの収集・分析が出来る。「ノン・オペレーションモード」の採用で、乗務員の操作性を最大限に簡素化。
管理者にとっても、既存のデジタコとの互換性があり、新旧の混在運用が出来る。更に、労務管理として「連続運転」「休憩」「休息期間」など、コンプライアンス(法令順守)違反の可視化システム構築も可能となる。
このほか、事務所PCでの管理に加え、運行管理者が外出先で使用するモバイルPCやタブレット端末でも、運行管理状況を把握することが出来る。
また、GPS(全地球測位システム)内蔵により、リアルタイムに車両位置を把握できるのも特色。危険にさらされる可能性のある現金輸送や東京電力福島原発事故に伴う避難指示区域内での業務もあり、リアルタイムな車両位置の把握が必要となる。伝言、指示などのメッセージ送信機能を活用し、安全でハイクォリティな警備業務を遂行する。

DTG5の現場での評価

警送支社(嘉藤満支社長)で真っ先に挙げるメリットが「カードレス」のシステムだ。「一番多いトラブルは、カードの管理だった。紛失や破損、読み取りエラーなどが発生する。その手間が省けただけで、更新したメリットがある」としている。
日報の自動化も好評のようだ。日報を記入する時間が省けるほか、読みにくい文字に悩むことも無くなる。
事務所PCだけでなく、外出先のモバイルPC、タブレット端末で見ることが出来るのもメリットだ。現場にとどまらず、どこからでも運行管理状況を把握できる。「見られている」という意識が働き、より一層の安全管理のレベルアップ効果が期待される。

今後の展開・活用について

今後はDTG5のリプレイスを順次、進めていく。嘉藤満支社長は「高機能の新機種は安全管理や経費削減とともに、社員の生命を守る上でも必要。GPS機能で車両位置が把握できることは意義が大きい。生命は何者にも代え難い」と強調する。現金輸送や貴重品の運搬、更には避難指示区域内のパトロールでは危険も伴う。危険の未然防止を図るとともに不測の事態にも即時対応が可能とする。
また、人材教育や安全教育指導にも力を入れていく。デジタコなどから収集したデータを蓄積し、車両管理、労務管理、人材教育などの情報として活用。ヒヤリハット体験なども加えて、データに基づいた安全管理の更なる向上を目指す。
このほか、表彰制度の見直しなども行う。無事故表彰の対象は年数と走行距離をベースに、今後はデジタコの情報(運転内容など)を加味していく方針。